Yomiuri Online

My research about the toponym of Russia in Japan was mentioned in a Yomiuri Online article. The article talks about characters for country names used in Japan in our days and introduces interesting related episodes. 読売オンラインに小坂剛記者様による「日星外交の「星」ってどこの国~意外と興味深い当て字の世界」という記事掲載されました。珍しい漢字略称や国名の漢字表記に関わる面白いエピソードについて語られています。 私のロシアの国名に関する研究もご紹介いただきました。

This is the part of the article where my research is mentioned. You can read the whole article here.

魯はまぬけと、ロシアが「露」に変更

どのような当て字を用いるかは、字の音だけでなく、漢字のイメージも影響している。日本では、アメリカが「亜墨利加」から「亜米利加」、フィリピンが「非」から「比」になるなど、否定的な意味をもつ漢字(悪字)から、肯定的な意味をもつ漢字(好字)へ変わったとみられる例がある。

 珍しいのは、外国が日本に先んじて、日本語表記を変更したとみられるケースだ。ロシアは日本でもともと「魯西亜」「魯」と書かれていたが、1870年代に「露西亜」「露」が使われるようになった。1855年に日魯通好条約として結ばれた条約は、現在の教科書では日露和親(通好)条約と書かれている。

 早大大学院の博士課程で、外国の地名・人名の漢字表記を研究するロシア出身のシャルコ・アンナさんが外務省外交史料館で発見した文書には、1874年7月、ロシアの公使館から「魯」は「愚かで頭の働きが鈍い」という意味の「魯鈍ろどん」に使われる字であり、改めたいと申し入れがあったことが記されていた。(『早稲田日本語研究』第25号)

 日本とロシアの両側の外交資料を確認したところ、同年9月の外交資料では日本側が「魯」だったが、ロシア側はすでに「露」の文字が使われ、翌75年1月に日本側の資料で「露」が登場した。アンナさんは、ロシア側が最初に「露」を提案して使い始め、その後に日本側も使い始めたとみている。

 「ツユ(露)」は、日本の文学では、和歌で「はかない命」「消えやすい」イメージでよくとらえられているが、ロシアの文学作品では、生命力の象徴ととらえられることが多く、「爽やか」や「輝かしい」「清い」といったイメージがある。「露」をロシア語に訳した語は「ロサー」と発音されることもあり、ロシア側がロシア語で音も近く、意味の良い字を選んだ様子がうかがえる。

 アンナさんは「私の調べた限りでは、外交レベルで抗議を行って、自ら自国の表記を変えるという事例は、近代ではロシア以外に見当たらない、珍しくて面白いエピソード。『露』という漢字は、とてもロシアらしくて素敵な字」と話している。

2016年04月07日 Copyright © The Yomiuri Shimbun